ブログ 〜箱屋の試み〜
◎第二百八十四回 倉橋先生の手がけた金唐革紙 〜その5〜
6月17日(金) 曇り時々晴れ(香川県)
雨が少ない香川県でも、今年の梅雨はけっこう雨が降っています。
昨年夏から低下し続けていた早明浦ダムの水位は、梅雨に入って間もなく満水状態になりました。
水不足に悩まされることの多い香川県人としては、十分量の雨が降ってくれるのはありがたいことです。
しかし、箱屋としては湿度が高くなる雨の日は面倒なものです。
今週ご紹介している「金唐革紙」を江戸時代に作った平賀源内先生も、雨に悩まされていたようです。
江戸で雨の日が続き、「雨天続きで革(金唐革紙)も一向出来不申…」などという言葉を残しています。
「金唐革紙」を作る過程で、湿気が多いために作業が進まなかったのでしょうね。
当時、源内先生は貧乏生活を送っており、後に自らを「貧家(ひんか)銭内(ぜにない)という、見るかげもない見すぼらしい浪人」と書くほど自虐的になっていたようです。
投げやりっぽく書いた言葉だったのかもしれません。
こんな言葉が残っているせいで、「源内先生は「金唐革紙」の製作に失敗した」などと評する方もおられるようですが、源内先生は「金唐革紙」の小物を作って売っていたんですよ。
実際に、源内先生が作った「金唐革紙」が現存しているのがその証拠。
それについては、次回お話しましょうか。
きょうの話題は、金色の和紙で作った「エレキテル化粧箱」です。
きのう紹介した「エレキテル化粧箱」は、白い和紙を使った箱に金や赤、黒の色を付けた作品でしたが、きょうの作品は金色に染めた和紙がベースになっています。
以前このブログでも紹介した「金色に染めた和紙」ですが、この金色和紙を使った「エレキテル化粧箱」に、倉橋先生が彩色を施してくれました。
赤の枠の中に白い花が咲いている、なんとも煌びやかなデザインです。
金屏風のような雰囲気も感じられます。
化粧箱の内側は、赤い民芸紙でお化粧してみました。
赤と金色の組み合わせもステキでしょ?
「金唐革紙」の特徴は、凸凹をつけて表現されている模様と、金をベースにした鮮やかな色彩が施されているところです。
そういう意味では、きのう、おととい紹介した「エレキテル化粧箱」は「金唐革紙」とは言いにくいものです。
きょうの「エレキテル化粧箱」は「金唐革紙」の新たな可能性を示したものだと店長は思うんです。
これからも、おもしろいものを作るための研究を続けていきますよ。
次回の”箱屋の試み”、お楽しみに!!
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